そっとヘイディのからだを抱き寄せて、ごめんね…、と呟く。 わたしは忘れていたわけじゃないのよ。 ただちょっと、見失っていただけなの。 「メリー・・・ぼく・・・ ずっと・・・っ」 「うん―― うん・・・ごめんね、」 ぎゅっと、ぬいぐるみの身体を抱いた。 震えていた身体はそれきり、静かになる。 「メリー、だいすき。だいすき、だから、もう ぼくをみうしなわないで・・・」 「ヘイディ・・・ うん、分かった、から」 千切れた身体。生身ではないわたしのからだ。 意思を持ってわたしによびかけるヘイディ。 ……今は、それだけが全てだ。