「やぁ……っ  くす、ぐ…、ふぅ…っ…」 「ふふー、……ユーリちゃん、すごく可愛い…」 ワイシャツの裾から右手を滑り込ませて、腰の辺りをゆっくりと撫でる。 そのままほんの少し、ユーリちゃんのすべすべした肌の感触を味わう。 撫でる手の動きは、止めない。 触っていて気持ち良いから、っていうのもあるけれど、これは焦らしだから。 そして少しずつ、…撫でる箇所を腰のラインから下半身へと移動させていく。 太股に差し掛かったところで、あたしは空いていた方の手で、そっと内股に触れた。 途端、微かに上がる喘ぎ声。……ユーリちゃん、こんな所に触れられただけで? 「あたし、まだ何もしてないのに……」 苦笑しつつ、今度は指先にやや力を込めながら、内股をゆっくりとなぞる。 内側に向かう様に、しかし下着には触れてしまわないように、慎重に。 こういうの、音楽用語では何て言うんだっけ。ぼんやりと考えている間にも、手は休めない。 ……いつの間にか、右手はすっかり足先を撫で回していた。 「はぁ、…ん、はぁ、…ぁ、……ダメだって、ば…あしっ…」 彼女はすっかり顔を赤くして、脚を撫で回すあたしの手から逃れたいのだろう、 内股を擦り合わせる様にもぞもぞと動かす動作を繰り返している。…らしい。 らしい、というのは――ユーリちゃんの足には重りが付けられていて、上手く動かせないようになっているから。 ちゅ、と足の指を口に含むと彼女の身体がびくんとはねた。 そのまま優しく指先を吸う様に舌先で触れて―― 「…っ、りょ…こ、ちゃん」 堪らなくなったのか、彼女がもどかしそうにあたしを呼んで。 それで少し我に帰ったように、思わず見上げてしまった。 ……真っ赤な顔で涙を浮かべるユーリちゃん。 その顔を見た途端、自分の中で抑えていたものが崩れていった…気がした。 彼女の手足に縛り付けていた縄を解こう、と思った。 そう、解いて―――。 「ね、ユーリちゃん…あたしの胸…触って、みる?」 「……えっ…?」 彼女が問い返す前に、その手を取って自分の胸に触れさせた。 ドレスの薄い生地ごしに、一瞬だけひやりとした感覚。だけどすぐに人肌の温さを確認して…更に強めに手を押しつける。 「わ、わ…結構大きいんだ…?」 戸惑う様に彼女が驚いて、手をやわやわと動かす。その行為が、胸の先端を優しく刺激して、 思わず声が出そうになったのを、あたしは顔を逸らし堪えたのだけど、 「…もしかして遼子ちゃん、ここ、弱い…とか?」 ――速攻でバレました。 「そ、そんなこと、な……んっ、ひゃう……ちょっ、ゆーり、ちゃ…」 服ごしに彼女の指が、あたしの胸を、先端を確認するように、ゆっくりと動く。 …あ、ダメだ。そこは服の生地がほんの少しざらついているから、わざとヌーブラを入れたのに。 そこをずらされてしまったら…―― 「あっ、ぁ……あぁ…ッ、、」 不意に、ざらついた生地が思い切り擦れて、腋にあったチャックがちりん、と小さく金属音を立てる。 そのチャックを下ろしさえすれば、このドレスは簡単に脱げるし、下ろして開いた隙間から手を差し入れてしまえば、きっと愛撫だって余裕だ。 ……さっき、あたしがユーリちゃんにそうした様に。 「ねえ遼子ちゃん」 あたしの名前を呼ぶ彼女の声は、先ほどまでの彼女と変わらない。けれど、少しいたずらっぽく響く、その呼びかけは。 あぁ、多分…… 「縄も解いてもらったし、今度はあたしが遼子ちゃんに色々する番、ね?」