『…ズキリ』 もう何度目の痛みなのか――。 精神的なものか、それとも身体的なものなのかも判らない。 断続的に続く胸の痛みは、やがて身体中に広がり 正常な思考を頭の隅に追いやる…… (…まだ、 ――まだ、死ねない) 薄れそうになる意識を、ユウキ― 月島夕希はぎゅっと自らの身体を抱く。 …痛みのせいで目が覚めた。が、身は起こさずにそっと耳を澄ませる。 聞こえてくるのは、妹でもあるレイキの寝息と、風で草木がかすれる音だけ… この痛みは、いつか訪れる崩壊の知らせ。 (でも、まだ、…わたしは) まだ成し遂げていない。 ―――あの子のため、の。 【お題 6.痛いよ】