「…もう!何度言ったらわかるんですかっ!?」 何度目かのセクハラの後に、レイキが声を荒げて叫ぶ。 いつもは来ている恵理が居ないと、すぐにこれだ。 頭を撫で回すのはまだ良い…けれど、これじゃあまるでご機嫌取りだ。 「恵理が居ないから、って何しても良いと思ってるんですか…?」 怒気混じりの声で、彼女が本気で怒っているのだと悟る。 セクハラのつもりは無かったが、謝るべきだろうか? 「…――〜!聞いてますかっ?!」 レイキが顔を真っ赤にして歩み寄り― 抵抗する間もなく、頬を抓られた。 いたいですレイキさん。 「人の話を聞かないからです…!」 摘まれた頬に爪が食い込む。ごめん、痛い痛い痛い…と言おうとして、 ふと彼女の顔を見ると、涙が浮かんでいる事に気付く。 「大体、――さん、今日が何の日か知ってますか」 不意の問いに動揺した。頭の中で言葉を反芻するが、 特にこれと言って――ホワイトデー? 「そうですね、ホワイトデーです。  …その日は私の誕生日でもあるんですよ?」 以前、恵理がこっそり教えてくれたので覚えてはいたのだ、今日は彼女の誕生日だと。 今日来ていないのはおそらく、その準備でもしている為だろう。 『だから祝いに来たん―― あだっ!?』 言いかけたところで星が飛んだ。目の前がちかちかして、頬がじんじんと痛む… 「じゃあ、何ですか、…誕生日だって知ってて、そんなことするんですかっ!」 泣き声に近い怒声が上がる。…もう謝ってもだめかもしれない。 「帰って、…帰って下さい!今日はもう――さんの顔なんて見たくないです…っ!!」 【お題 2.怒る】