昔と同じ時を過ごす夢に居れば お互いは幸せでいられますか?
─── sadness
「───── ・・・・・・っ」
朝、目が覚めると同時に、激しい頭痛に襲われた。
身体を起こしながら、思わず左手を額に当てる──
・・・熱い、なんて言えるものではない。
もしかして、額で湯が沸かせるんじゃないか、と一人呟いて、
───また横になった。
あぁそうだ、弟を呼ばなければ。
今日は一緒に街へ行こうと約束していたんだっけ・・・
「・・・ごめん、ガッシュ」
誰に言うでもなく呟いた、その一言はいつの間にか遠く───
夢を見るなら。
せめてその中では、幸せなひとときを。
只私を慕い、無邪気に笑っていたあの頃を。
只それに応え、手本になるようにと前を歩いたあの頃を。
───、今一度、私は選ばなくてはいけない。
先祖の過ちと匣、それを追う私の事を、どう・・・伝えるか。
いや、何もこんな時にそんなことを考えなくても、と思う。
だけど私はもう知ってしまったのだ。
ならば遠からずとも、私と弟は離れなければいけない。
こんなにも───こんなにも、 愛している と、いうのに───・・・?
・・・目が覚めた。
身体がだるい。
熱を出していたのを思い出し、そういえば昔も同じ事があったな、等と、
昔よりも色の褪せた、天井をぼんやりと見つめていると──ふいに視界が真っ暗になった。
「───?」
やけにぬるく感じる、視界を閉ざしたそれを、私は掴んでよく見てみる。
濡れ布巾。ずり落ちてきた、キチンと畳まれたそれを見ながら、少し考えて・・・
「・・・・・・・・・・、う・・・んぅ・・・」
・・・聴こえてきた、ささやかな寝息の主が乗せたのだと気づく。
ガッシュが傍で──ベットにもたれかかる様に眠っていた。
とりあえず、もう一方の手を額に当て、熱が下がったことを確認する。
「下がらなければ、ずっとお前に看病してもらえたかな──?」
呟いてからそっとベットを抜けると、看病に疲れて眠っているガッシュを抱えて、ベットに寝かせる。
その隣に私も横になって、寝る。すぐに睡魔が思考を支配し始めて───
──・・・ふと、大切なことを考えていた気が、した
──伝えなければいけない事。だけど、伝えてしまえば壊れてしまう、大切な事を。
「・・・すまない、ガッシュ」
夢を思い出して、呟いた言葉を聞き終える前にまた夢に堕ちた。