「貴方を、愛してるわ」 「そう――そんな風に優しく触れて…?」 「ぁ…」 「……いつだって、私、」 「この胸の高鳴りは……貴方のせい、よ?」 「何もかも、そう… んっ…」 …あれから、幾ら時間が経っただろうか。 彼女を押し倒してしまってから事に及んだのが、数時間も前のように感じる。 霞掛かった思考のまま、ぼんやりと思い返す。 手の感触を。下腹部に残る、違和感にも近い感触を。 ふと、ふわりと何かの香りが鼻腔をくすぐった。 それが何の香りか確かめる為に、立ち上がろうと床に手を着く。 と、ぺたりと何かが張り付いた様な感触があった。 慌てて自分の手を見ると、そこには、青に染まったルピナスの花びらが一枚だけへばりつくように―。